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学校公認ラブラブ
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「あれ? おかしいな……」
「秋ちゃん? どうかしたの?」
河鹿薫子とボクは、さっきのキスの余韻を引きずりつつ、心地好く寄り添い合いながら、もう誰も居なくなって人の気配がなくなっているギャラリーの真ん前に来ていたりする。
――こんなこと、恥ずかしくておるこちゃんには言えないけど……
「ねえ、秋ちゃん?」
――ボク、おるこちゃんとのキス……
「ねぇーってば、ねえ? 秋ちゃん?」
――気持ち良過ぎだから、もう癖になりそうだよ……
「ねぇーってば、ねぇーってば!! 秋ちゃん!? 秋ちゃん!?」
――あ、しまった! 余計なこと考えてないで……ちゃんとボク、おるこちゃんの質問に応じてあげなきゃ……
「えっとね……だってさ、ボクが閉めるはずのギャラリーのシャッター、何だか勝手に閉まってるからさ」
「とっくの昔に下校の時刻が過ぎちゃってるから、先生か誰かが閉めちゃったみたいな感じなんじゃないの?」
――うーん……ギャラリーの重量シャッターを開け閉めする電動スイッチは、それ専用の鍵を差し込まないと起動しない仕組みなんだけど……
「あのね、シャッターの鍵……電動シャッターのマスターキーはボクが持ってるんだよ」
「下校の時刻を過ぎても秋ちゃんが閉めに来ないから、スペアキーか何かで、先生とか用務員さんとかが閉めちゃったとか?」
「あ、スベアキーか……うん、その可能性はアリアリかもね」
ちなみに下校の時刻とは、それは校舎内に生徒が居て良い時刻と居てはいけない時刻の時間的概念におけるボーダーラインのことだ。
――えっと、ほら……さっきさ、ウチのクラス担任ガンジーが言ってたアレのことみたいな……
部活の顧問など、保護管理責任を担える者の管理下にあるなら生徒は校舎内に居残り可能なのだが、保護管理責任を担える者の管理下にないまま生徒だけで校舎内に居ようなものなら、それは校則違反の現行犯になってしまうアレのことだ。
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