story 4

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俺のウチ、と呼ばれたそこは 綺麗なマンションの5階。 わたしと同じ階数に住んでいるのに 造りも中身も何もかもが違う。 ここは5階が最上階だ。 なんてゆーの? 低層地域、だかなんだか。 高い建物をあまり造らないで、景観を損なわないようにするだかなんだか? 緑を多く見せようとする画策だとかなんだか? よく分からないけど そんな地域なんだ。 グレーの絨毯が敷かれたシックな廊下を進んできたけど 部屋の扉がないことに少しだけ違和感。 角を曲がったところでやっと見つけた居住の扉。 鍵も持たない高峰さんがドアに触れると サックり解錠and開門でわたしを招き入れる。 スマートキーというやつは 最近どこにでも登場するんだな。 電気が狂ったらどうするんだろうか。 みんな安心し過ぎでしょう。 その点うちは、上下種類の違う鍵でもたもたと開けなきゃいけないアナログ扉だけど 夏成くんは鍵もみないでそれがどっちの鍵か分かっちゃうってゆー凄い能力の持ち主なんだった。 「あ」 「なんだ、どうした? 俺にもちゃんと家があったのが不思議か?」 また笑いを含んだ高峰さんの声が聞こえた。 いや、違う、そうじゃない。 違うんだけども。 うちの2倍は広い玄関はバリアフリー使用で 無駄に置かれた靴やモノが全くなかった。 靴を脱ぎ捨てて上がるわたし でも、朝にはちゃんと片付けられていたことに 気付いた。
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