story 5

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ケアルラ化粧品の広報担当部長。 さっすがティーンのお肌をピッカピカに守ることに専念してる人だけあって 極爽やかで 極軽やかで うちの営業の腐ったヤツらや お多福肉団子なんかとは月とスッポンだ。 「ふーん、じゃあ、相良さんこれパックとかは?」 わたしの顔をマジマジとのぞき込みながら そんな砕けた話をする仲に発展。 「わたし、もともと肌が強いのか、あんまりトラブルなかったんですよねー」 「そりゃーいいDNA貰いましたねー」 あはははっ、と笑い合って 結局、広告戦略については期日いっぱい たくさん意見出し合いましょ、的な締めくくりになったのはつい先日のこと。 小さなミーティングルームでの話し合いは 終始和気藹々としてて 近頃のギクシャクや無茶苦茶や意味不明なんかに埋もれていたわたしにとっては 「まさに、天国!」 このひとことだ。 「え?なに、相良さん」 「いえ何も」 右手を顔の前で振る。 「高木さん、こっちのA案を全面に出すとしたら 何が、足りないですか?」 パッドを目の前でスライドしながら 担当の高木さんに尋ねてみると とっても愉快な返事が帰ってきた。 「今は言えないな」 爽やかに微笑む男子は「いや、相良さん、今後もよろしくね」 右手をささ、と差し出してきた。 握手なのかと同じように右手を添える。 「こちらこそ、ありがとうございま」 突然、ぎゅう、と握られて ちょっとビックリした。
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