story 5

6/40
前へ
/287ページ
次へ
無駄な残業はしないように、と言い続けてきた朝日局も、とうとう諦めたのか 「早めに帰んなさいよ」 つん、と言い捨て翻っていく。 「お疲れ様したー」 パソコンに向いながら思ってもいない口先だけを投げかけた。 最近のわたしといえば 爪、暫く変えてない 髪、なんか中途半端にクリップしただけ 靴、パソコンの時はサンダルみたいの ダメだー。 女的にダメだー。 元々のレベルがある程度高いから 別に念入りに手入れしなくてもある程度見られる範囲なんだろうけど。 なに、ちゃんと仕事なんてしちゃってるわけ? お前の本職は化粧品の広告作ることじゃねーだろーが。 って、誰か言ってくれないかなぁ。 「また無駄に残ってんのか」 「あ」 歪んだ副社長様が登場だ。 音も気配もなく現れるのが好きらしい。 そういえば。 この人に会うのも久しぶりだった。 「お疲れ様です」 さっきよりももっと口先だけであしらって ちょっとは上達andスキルアップしたはずの資料整理に一所懸命を費やす。 副社長様とは全くご縁がないようなので これ以上のかかわりは必要が無い。 今のところは。 どうせ交えるなら、こっちが良かったなぁと まだまだ抜け出せないでいる 今回に限った「生理的嫌悪」が根強く蔓延っている。 「相良」 「なんですか」 「もう社長には近づくなよ」 「どうしました急に」 近付かないでいられるなら そりゃ願ったり叶ったりだ、と 大声で叫びたかった。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10395人が本棚に入れています
本棚に追加