story 5

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神谷忍(カミヤジン)の ファーストインプレッションは ファビュラスボイス(ハート)。 「なあ」 異性に対してのフェチズムが“声”対象でなくても この神谷忍の落ち着いた雰囲気から放たれる 滑らかな口調(リズム)や 低くて安心感のある音は なんだろう、本能的にどこかを擽られるものがある。 わたしの人生の中で間違いなく後世に語り継いでよいぐらいの音だ。 セカンドインプレッションは 足元のジョンロブ(イメージ)。 足は人間の身体をいつも支えている大事な部分。 大事な部分に手をかけている=ケアが行き届いている と、見なされるぐらいに足元は重要。 足元を見られるな 足を掬われるぞ 見かけの問題じゃないかもしれないけど 足にちゃんとした装備をしているのといないのとでは、印象が全く違う。 ピカピカに磨かれた靴を履いたセールスマンと ヨレヨレのドロドロの靴を履いたセールスマンなら 前者からサービスされたい。 「お前のその目。 こないだの、“夏成くん”だっけ? 彼と、揃いなんだな」 神谷忍はわざとわたしの耳元に唇を寄せ 本能を燻らせる。 「遺伝?」 それに“間”の使い方を知ってる。 すぐ横にあるだろう、顔は 触れてはいないのにうっすらと存在の熱を感じるし セリフとセリフの隙に 意地悪く笑うのは呼気だけ。 恐ろしい、男だ。
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