story 5

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パソコンをたどたどしく叩く指先に神経が集中して、思わず震えだしそうだ。 足元は座り位置を正すフリをして出来るだけ奥に追いやった。 恐い。 何をどう思われようと気にしなかった。 わたしも自分のレベルを知ってるからだ。 どん底な頭の悪さは見せないように隠してきた。 大人しいフリをして余計なことは話さず 相手の趣味にだけ合わせていれば なんてことはなかった。 ただ、この神谷忍には 取り繕おうにも、繕える端切れはない。 何故なら わたしのアホもバカも知れ渡り 更には遺伝子レベルの情報まで握られてんだから。 恐い、と思うのは 相手より秀でたところが一切ないからだ。 あとは喰われるだけ。 今までのわたしがそうしてきたように。 いやー いやー いやぁー 黄色いテープが身体に巻かれていく。 黒で記された CAUTION KEEP OUTの文字が 全身に染み込むように巻きついていく。 「兄貴が唯一手を出さない部分がある」 トドメを刺そうと、狙ってきた。 思い上がりで済むなら、そうしたい。 近い。 どこまで知らぬフリが出来ているかは分からないけど、少しだけ横を向けば もう、間合い1寸ほど。 それなのにホッと出来たのは どんなに詰められても、引かない顔面だけ。 早い話が よーするに、顔だけ(汗)
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