story 3

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こっそり帰る自分に遺憾。 わたしの家なんだから、堂々としてればいい。 だけど何故こんなにもコソコソしなきゃならないのか。 「よかった……まだ帰ってきてない」 シン、と静まった玄関。 電気も何も点いてなくて 人の気配は、この時点でたぶん、ない。 夕べ、わたしは夏成くんに連絡していなかった。 だから何としても彼より早く家に辿り着く必要があったのだ。 ……どーして弟に気を遣わなきゃならないの! わたしが買ったマンションなんだ! とは、思ってるものの あれできっとわたしの事を心配してくれている人に そんなことは言えないし 夏成くんとは、それほど仲良し姉弟でもない。 「洗濯、洗濯しなきゃ……」 エコバックに詰まった下着をシャツをポイポイと放り込んだそこのスイッチを押す。 夏成くんが帰ってくるのは 早くても8時過ぎ。 遅かったら……昼過ぎとか? 全く、アイツだってなにしてるか分かんないよね。 なのに、わたしだけ…………いやいやもう考えるのは止めよう。 最終的に“夏成くんへの遠慮”ってトコに行き着くからだ。 「よし、コーヒー飲も」 コーヒーという飲み物に執着はない。 このカプセルを使うのが勿体ないくらいの、甘々、ミルクミルクのコーヒーに仕上がるからだ。 お気に入りはバニラフレーバー。 いつものようにカプセルin ガッツリレバーを押す。 世の中便利になったもんだ、と 時計を見てやっとひと息吐き出した。 何事もなく出て行ける。 帰ってきたのはレンズのスペアが手元に無かったからもあるけど やっぱり夏成くんのお小言を聞くのが面倒臭かった。 高峰さんとの秘密の夜はきっとまだ続くんだろうと思う。 朝起きたら、グッタリ感半端ないのは わたしがその疲労に慣れてないからなんだろうか。 毎日シてる人ってどうなの? こんなに疲れるもんなんだろうか。 口先だけでアンアン言うのとは違う 明らかに違う、腹の底からのアンアンは これからどうなっていくんだろ。 それに まだ何も指令がないのは どうしてなんだろう。 わたしの長所はポジティブだ。 良いように考えればいーや、と すんなりと思えないのは どうしてだ、と ないNOミソをフル稼働させた。 と、言ってもNOアイデアだ。爆。
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