第5話、母子家庭で疑似新婚生活

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★ 「秋ちゃん? ぬか床に浸かってるタクワンも切っとく?」  ――おるこちゃん、沢庵をタクワンって発音してるし……おるこちゃん、意外と古風な大和撫子みたいな…… 「ってかさ、おるこちゃんって凄いよね」 「え? 秋ちゃん? あたしがスゴイって、何が?」  そのアトリエでボクは好きな様に作品を作っていたりする。  ――あのね、実はね、絵の具ってさ、生活する家の中にあると臭くてたまらないんだよ…… 「いや、だって、手を洗ってもさ、しばらくは臭い取れないのにさ……」  ――水彩絵の具なら臭わないけれど、アクリル絵の具とか、油絵の具とか…… 「取れないって、もしかして、ぬか味噌のニオイのこと?」  ――それに、アクリル絵の具や油絵の具を溶かす有機溶剤とか…… 「うん、ぬかの臭いってさ、石鹸で手を洗っても易々とは落ちないもんだし……」  ――石油系の画材達の臭い、慣れない人が長時間かいでいたなら、もう、間違いなく吐いちゃうかもだし…… 「うふふ……あたし平気よ。だって、あたし、ダイワナデコだもん」 「おるこちゃん、おるこちゃん……それ、ヤマトナデシコだし。ダイワナデコじゃ、どっかの金融会社だか証券会社だかの記入見本みたいだし」 「あはは! あたし、ちょっとボケかましてみただけだもん」 ★
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