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第5話、母子家庭で疑似新婚生活
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――気がついたら、おるこちゃんとラブラブになってから、もう既に、かれこれ一ヶ月が過ぎてたみたいな……
そう、おるこちゃんとボクが相思相愛になって、もう、かれこれ、何だかんだで一ヶ月が過ぎてしまっていたりする。
「ねぇ、ねぇ、秋ちゃん?」
「おるこちゃん、なぁーに?」
「秋ちゃんも一緒にバンドやらない?」
「え? バンドって?」
――たったの一ヶ月超え、されど一ヶ月超え……おるこちゃんとボク、もうスッカリ、めっちゃラブラブだし……
今、河鹿薫子はボクの家に居て、ボクの彼女は手際良く、とても見事な包丁さばきでぬか漬けのきゅうりを刻んでくれている。
――ボクが大切に育てているぬか床なんだけど……
「秋ちゃん、あたしね、バンドでライブがしたいのよ」
――っていうか、おるこちゃん、平気な顔をして、あの凄まじいニオイさせまくりなぬか味噌を素手でかきまわしたのには驚いちゃった……
「おるこちゃん? えっと……『らいぶ』って?」
――いや、もう、ホント、ぬか床って凄いニオイなんだよ。でね、これは聞いた話なんだけど……
「ライブって言ったら、ほら、ライブコンサートのことよ」
――今時の若い女性なんてさ、食品用の使い捨てビニール手袋してぬか床に手を入れるなんて人が居るとか……
「ネイルサロンとかでネイル盛られた素手でかき回されるなら、まあ、それならビニール手袋してもらった方がイイけどね」
「え? 秋ちゃん? なんか言った?」
「タダの独り言だから、おるこちゃん、気にしなくてイイよ」
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