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由佳は生まれたばかりの娘を抱き抱え、圭一に渡す。そして、小さな娘を驚かないように小声で話し掛けた。
「桜木さん、夢だった芹川典子になれたね。これからずっと、圭一と一緒にいられるよ」
心から喜ぶ妻の姿を見て、圭一の迷いは一瞬で消え失せていく。
「ありがとう、由佳。そして典子、僕の元に生まれてきてくれてありがとう。僕は君の幸せを願っている。いや、今度こそ君を幸せにするよ」
それは都合の良い、勝手な解釈かもしれない。しかし、圭一と由佳は疑いの感情は一切無く、心の底から信じた。
それを感じ取ったのか、芹川典子は圭一の優しい腕の中で小さく微笑んだ。
END
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