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それから俺と原始人は釣りを楽しんだ。むろん原始人にとっては生まれて初めての経験であったから、とても喜び嬉々揚々と釣りを楽しんでいた。それにしても……。
やはりこの原始人、やたらと知能が高いぞ。
釣りを一回教えただけで容易に覚えてしまって、俺以上に大漁をカマしている。師匠としては少々悔しいが教え甲斐がある。物覚えの良さに気を良くした俺に親心が生まれる。
ならば釣った魚の調理方法でも教えてみようか。
きっと喜ぶだろう。
そして枯れ木を集めてライターを取り出し、火をつけ、焚き火をしようとする。
塩焼きにするのだ。
「うぴっ!」
な、なんだ。なんだ。大声を出すなよ。ビックリするじゃないか。
「ひ、火。火をつけるのか。それは止めた方がいい」
さすが原始人。
原始人にとって危険な火を難なく使いこなす現代人の感覚が信じられないんだろうな。俺は「大丈夫です。安心して待ってて下さい」と魚に串刺しにして塩をふる。その後、焚き火の周りに串刺しにした魚をあぶるように置く。
いいにおいが辺りに充満する。
いまだ戦く原始人。
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