-其の零 十六夜月の出逢い―

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 しかし。蒼は何故か褥から這い出した。土方は、蒼を猫扱いしていたので『同衾(どうきん)』することに抵抗はなかったのだが、蒼は違ったのかも知れない。 「どうした、蒼?俺と一緒に寝んのは『嫌』か?」 「っそそそん…な?俺…が主様(あるじさま)と。とと……床を、共……にす、るな……んて!…恐、れ……多いっ」  土方には蒼の言っていることがわからない。 「『主様』は辞めろ、『土方』でいい。嫌じゃねえなら、さっさと来い。俺は眠いんだよ。」  自らで夜の散策に出ておいて、と普通は思うだろうが、蒼はそんなことは思わない。  そろそろと戸惑いながら褥に潜り込む。寒くなったのか、土方は蒼を『ぎゅっ』と腕の中に抱き込んだ。『びくっ』と蒼の躰が一瞬跳ねたが、土方は構わず蒼を抱き込んだまま言った。 「お前も寝ろ。お前の身の振り方は俺が明日、何とかしてやる。」  土方は蒼が『こくん』と頷いたのを感じながら、眠りについた。土方に抱き込まれた蒼も、その温もりに『安堵』を覚え、ゆっくりと眠りに引き込まれていった…………………     -『三千年前』と同じように-
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