-其の零 十六夜月の出逢い―

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 けれど、その長い髪と美しい顔。更に十四、五歳(に見える)と言う微妙な年齢故、男女の区別さえ付きにくかった。 「おい『小僧』。もっぺん聞くぞ。こんな刻限に、こんな所で何してやがんだ?お前みたいな餓鬼が、フラフラ出歩いていい刻限じゃねえだろうが?」  その子供は『小僧』と言う言葉に反論しなかったので、取り敢えず〝少年〟と言うことで合っているのだろう。  しかし、その〝少年〟は戸惑うように辺りを見回すと、震える唇で言葉を紡ぐ。 「………?わ、わから……ない……………」  妖眼の少年の震える唇から紡ぎ出された声は、愛らしく、耳に心地好く響いた。『(たえ)なる声』とでも言うのだろうか。若干、高めの声だったが声変わり前ならば、そう珍しいことでもない。 「………わからない?どういうことだ、何が『わからない』んだ?」  困惑したような瞳で、見つめてくる妖眼の少年。その少年の言葉に困惑したのは、寧ろ土方の方だった。 「…な、何、も…わ、から…ない………。ッあ、あた…まが、痛………いッ」  そう言って、頭を抱える少年。
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