第1章

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 女だてらによくやって――というか、ベッドから出てきたことがないってのに、まったくもって頭が下がる。  ――それも世界を変えるとかいう、目的のためだっていうんだろ?  ベトは胸中で、呟いた。  感心していた。  素直に。  そういうところには。  だけど心許すまでには、どうしても至れない。  どうしても、理解できない所が多すぎる。 「……しゃあねぇ。予定を切り上げるか」  一言だけ残し、ベトもスバルと同じように無駄に広い部隊長室をあとにした。  スバルにだけ一言残して、ベトはアジトをあとにした。  なんでもしばらくしたらこのアジトは引き払って移動するという話だから、あまり遅くなるなという話だった。  それにベトは一応留意し、移動含め滞在期間を四日と決めた。  一人、山道を歩く。  なんとかギリギリけもの道ではないが、ほとんど人が通らないような道だった。  さもありなん、交戦中の区域の山など盗賊、敵兵、騎士崩れなんでもござれの無法地帯だから、こうして一人歩く方がどうかしていた。  どうかしている。
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