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マントを毛布代わりに身体に巻き付け、大きな枯れ木の幹の上に、横になる。
まるで団子虫にでもなったような気分。
山と、一体化しているような。
空を仰ぐと、満点の星空。
これだけが、唯一の利点だった。
楽しみ、と言った方が近いだろう。
しかしそれも、一瞬。
宝石箱を散らしたよう、といえば聞こえもいいが――宝石をいつまでも眺めているような趣味は、ベトにはない。
瞼を閉じる。
そして思いを馳せる。
二年ぶりのエルシナ。
信仰心がそれほどではないベトをして、あの大聖堂と、神父と交わした会話は興味をそそられた。
果たして二年ぶりに自分が行くことで、どうなるのか。
「――どうもなんないかもしんねーが」
あごひげをジョリ、と触り、ベトはそのまま眠りについた。
翌朝は、五時に目覚めた。
もちろんベト自身狙ってその時間に起きたわけではなく、感覚で、だ。
これ以上早いと足元が見えないし、遅いと移動距離が短くなるという、絶妙な時間帯だ。
歩き始めてからしばらくして、懐中時計を見て、確認した。
これも、サミオール大聖堂で受け取ったものだった。
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