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ぼんやりお日様を眺めていたら、声をかけられた。
でっぷりした体躯にひかる禿頭、スバルだ。
スバルは初めて会った時から、折りを見て声をかけてきていた。
それは笑顔を見せて、猫なで声で、親しげに。
それがアレには、気が置きにくいものだった。
「…………はぁ」
こっちにきて、三日。
さすがに無視し続けるのも気が引けるので、一応おざなりに申し訳程度な返事をかえす。
それにスバルはお決まりの苦笑いを浮かべ、
「はは……今日は、100回くらいやってたみてぇじゃねぇか? どうだ、剣の感触は?」
くらいというか、きっかりだ。どうやら数えていたらしい。
そういうところも、アレには気が許せない一因に他ならなかった。
それに、剣の感触。
「――重いですね」
それぐらいしかない。
スバルは頬を引き攣らせ、
「そ、そうか。まぁ女子供には扱いにくい武器よなぁ。嬢ちゃんは、あれか? 今までスプーンより重いものは持ったことがないっていう口かい?」
「そうです」
明らかな冗談めいた口調に、アレは即答した。
もったことがない。
事実だから。
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