第1章

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「…………」  アレは俯き、静かに呼吸を整える。  好意が見えないから、安心する。  それは普通の在り方からは考えれないと、少女はわからない。  普通というあり方を、知らないから。  世界を変えたいのはただ単純に、世界が怖いからなのかもしれなかった。  もちろん未だに、断言できるものではなかったが。  だから大衆の前で演説したり、単純な呼びかけには笑顔で応えるアレだったが、対一でまともに話せるのはベトと、素っ気なくされても頑張るスバルだけだった。  他の者は好意は持っているが、持て余していた。  真っ白いレースドレスのような少女の、扱いに。 「……ハァ」  一息吐き、杖をついてアレは立ちあがった。  陽射しが眩しい。  ご飯を食べて、次はどうしよう?  考えていた。  世界を変えなきゃ。  それ以外、自分の生きる意味がない。  だけどこうして剣さえ振っていればいいと、そういう風にだけは思えなかった。  ベトに、会いたかった。 「あ……」
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