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「…………」
アレは俯き、静かに呼吸を整える。
好意が見えないから、安心する。
それは普通の在り方からは考えれないと、少女はわからない。
普通というあり方を、知らないから。
世界を変えたいのはただ単純に、世界が怖いからなのかもしれなかった。
もちろん未だに、断言できるものではなかったが。
だから大衆の前で演説したり、単純な呼びかけには笑顔で応えるアレだったが、対一でまともに話せるのはベトと、素っ気なくされても頑張るスバルだけだった。
他の者は好意は持っているが、持て余していた。
真っ白いレースドレスのような少女の、扱いに。
「……ハァ」
一息吐き、杖をついてアレは立ちあがった。
陽射しが眩しい。
ご飯を食べて、次はどうしよう?
考えていた。
世界を変えなきゃ。
それ以外、自分の生きる意味がない。
だけどこうして剣さえ振っていればいいと、そういう風にだけは思えなかった。
ベトに、会いたかった。
「あ……」
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