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マテロフの所作は、見事なものだった。
周りがフォークなど無用とばかり立ち上がり前のめりで我先にと手を伸ばしてパンを、肉をわしづかみ、千切り、貪り、野菜がほとんどなし野菜スープで流し込む中、ひとり丁寧にナイフとフォークを駆使してほとんど音を立てることなく粛々と食事を進めていた。
しかも胸元には白いスカーフまでつけて。
見ようによってはフランス料理のフルコース食べてるようにさえ映る。
「…………」
その様子をアレは同じようにカチャカチャとフォークとナイフを使いながら、黙って見つめる。
改めてみると、マテロフは綺麗な顔立ちをしていた。
褐色の周りと違い肌も白く、肩まで届く白金を想わせる髪も手入れが行き届いている。
鼻筋も通っており、肩幅も細く、眉毛も細い。
ふとすれば女性と見紛うほどの美男子だった。
「…………」
「うめぇ、肉、うめぇ!」
「おい、てめぇ取りすぎだろ戻せや!」
「っせ早いもん勝ちだろうが!」
「お、お頭ァ……」
「情けねぇ声出すなてかわしに寄こせ!」
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