社員№001 桃山素子

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朝礼の後、引継ぎやらなんやらでバタバタとした。 幸い、というか係長は退職の準備を進めていたようで引継ぎの資料作成や荷物の整理は綺麗にされていた。 昼休み。 「なんで係長内緒でやめちゃったんですかねー」 小松がランチに来ているお店で愚痴る。 「さぁ…何でだろうね」 どんな気持ちでここ数日会社で過ごしていたんだろうか。 兀脇係長と仲が良かった、とは言えないけど仲が悪いわけでもなかった。 「気を遣われたくなかったんじゃない?」 「ですかねー」 「ここ、いいかな?」 小松としんみりしていたら、お声がかかる。 声の主は課長。 「他にも空いてるじゃないですか?」 「女子社員と親睦を深めようかと思ってもいいでしょう?」 にこっと爽やかに微笑まれる。 ぞわわ。 なんだか鳥肌が立った。
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