第1章 不機嫌なプリンセス

18/19
前へ
/383ページ
次へ
ーー放課後。 「失礼しましたー」 「高峯くんっ」 職員室から出てきた高峯くんに声をかける。 「うみたそ!どうしたの?今日も俺とデートしたくなっちゃった?」 「何故あんな嘘を?」 「嘘?」 「貴方がそんな事するとは思えない。あんな自ら悪者になるようなやり方・・・あんな事言ったらクラス内の貴方の評価が・・・」 「良いんだ。俺はどう思われても」 「でも!」 「嫌なんだよ。うみたそが悪く言われるの」 「私は構わないわ。いつも一人なんだし。今更・・・」 「俺が一人にさせない!これからは・・・」 「え?」 「一人が平気な人間なんていない!さっきみたいにうみが辛い時は俺が助ける!皆が敵になっても、俺は味方になるから」 「高峯くん、何故私にそこまで・・・」 「うみにはたくさん時間がある。だから今の時間一瞬一瞬を幸せに生きて欲しい」 「たくさん時間が・・・?」 「裏切られるとか勝手に決め付けないでよ。昔、何があったか知らないけど・・・皆が皆、うみにひどい事するとは限らない。勝手に逃げてんじゃねぇよ!」 「高峯くん・・・?」 「うみたそは今日、俺に借りを作った。だから、返して貰わないと」 「え?」 「俺と友達になって。それで返して」 「何て強引なの・・・私は貴方が嫌いって・・・」 「実はあのゴムはうみの私物でしたって今からでも先生に言えるよ?」 「う・・・」 「決まりかな?」 「仕方ないわ・・・」 「やった!友達になったからにはハグを・・・」 「それは絶対にさせないわ」 「うみたそー!」 「高峯くん」 「ふぇ?」 「た、助けてくれてありがとう・・・」 「と、突然のデレ!!萌えーっ!」 「高峯くん、気持ち悪い」 あんな事言ったら自分にはメリットは全く無い。 なのに 高峯くんは自分を犠牲にして私を助けてくれた。 少しだけ信じてあげても・・・良いのかな? 高峯くんの事・・・。
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加