第1章 不機嫌なプリンセス

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学校のグラウンドに着くと、予想通りあいつがいた。 ーー山崎優也。 一人で朝練してるし。 「山崎くん!」 私は彼に声をかける。 「ーーうみ」 短い茶色い髪はもう汗で濡れてしまっている。 「学校で気安く名前で呼ばないでと言っているでしょう」 「良いじゃん。幼馴染みなんだし。昔はうみだって優ちゃん、優ちゃんって・・・」 「うるさい」 「で?何だよ?珍しいじゃん。お前が学校で俺に話しかけてくんの」 「愛優さんに頼まれたの。はい、お弁当」 「お!サンキュー!これがねぇと練習になんねぇからな」 「良いじゃない。貴方にはお弁当を作ってくれる女の子がたくさんいるんだから」 「は?」 「じゃあ、確かに届けたから・・・」 「うみ!」 「何よ?」 「また、同じクラスだと良いな」 優也は爽やかに笑って言った。 っ・・・ 「じゃ、じゃあね」 私は逃げるように走り出した。 だめだ、もう忘れたんだ。 あいつを好きでいる気持ちは・・・ 忘れたんだよ・・・。
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