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「あんたさ、おれにどんだけヤバイ仕事させるつもり?」
一ヶ月という契約の方法も、こうして自身のテリトリーで『監視』するのも、尋常じゃない。
「……いちいち報告させるのが面倒なだけだ」
「……ふーん」
『客』がそれを『答え』だとするのなら、結月はこれ以上を知る事は出来ない。
どうせ、『仕事』の内容を聞けば嫌でもわかるし、一旦それで納得しておこうと緑茶を口に含むと、甘くも清涼な香りが鼻をぬけた。
次に沈黙を破ったのは、仁志だった。
「……お前、いつも『ああ』しているのか」
「なに?」
「……『寝た』んだろう」
「ああ……」
やはり仁志は、昨夜の出来事を覚えているらしい。
逸見はどこまで知っているのだろうかと部屋を見渡すと、いつの間に去ったのか、その姿はどこにも見当たらなかった。
なら、ムダな配慮は不要か。
「アレが一番手っ取り早い方法なの。ま、今回はなかなかいい男でよかったよ」
「相手は選ばないのか」
「仕事だからね。おっさんとかおばサマの時もあるし、ラッキーな時は素敵なおねーさん」
だからどんな相手でも結果は保証すると繋げようとして、結月は別の可能性に思い当たった。
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