第一章

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「……なに? あんたも試したいの? まぁそれなりの金額貰ってるから、別に構わないけど」 「そうじゃない」  間髪入れずに返された低い声に、そりゃそうかと結月はおどけてみせる。  顔良し、金持ち、それなりに若い。優良が飛んで有料になりそうな物件だ。引く手数多過ぎて、どりらかといえば、身体が足りないだろう。  仁志は不機嫌そうに眉根を寄せ、黙ってしまった。  下世話な質問をしたと謝罪した方がいいのだろうか。結月が逡巡していると、静かに立ち上がった仁志が結月へと歩を進めてきた。 (え、もしかして殴られる?)  そんなに癇に障ったのか。  引き攣る頬を自覚しながらも、蛇に睨まれた蛙よろしく身体が動かない。と、目の前で立ち止まった仁志が、真剣な目で結月を見下ろしてきた。  形の良い唇が動く。 「あれは、条件代だ」 「条件?」 「……身体を使った方法はするな」 「っ、は!?」 「それが約束出来ないのなら、この依頼は無しにする」  何を言っているのだこの男は。 (え、おれさっき一番手っ取り早いって言ったよね? なんでわざわざそんな面倒な条件……)
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