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「……好きじゃない」
「……は? 好みの問題?」
「『表の』調査では特に綻びはない。話題性も高く、これまでうちのホテルには手が出せないと見送っていた層への、多大なアピールになる」
「……いいコト尽くしじゃん」
「が、好きじゃない」
「社長個人の私情で拒否していいモンなの?」
確認するように振り返った結月に、逸見は返答の代わりに苦笑を寄越した。
「……まぁ、やれってならやるけどさぁ」
つまり、仁志は何かしらボロを見つけて、『お断り』の切り札にしたいのだろう。
なんて私情に塗れた依頼だと嘆息しながら、結月は不承不承、名刺と仁志宛の招待状を受け取ったのである。
「えーっと……これか」
キーボードで会社名を打ち込み開いたホームページは、動く画像や文字が華々しく興味を煽る、賑やかな仕様である。目につく『格安』の文字はひとつやふたつではなく、なら正規のプランは何処にあるんだと首を傾げたくなる程に、画面のあちこちに散りばめられていた。
試しに目についたひとプランをクリックしてみると、その宿に紐づくプランがズラリと並んだ。
(なるほど、飛んだ先で別のプランを選べるってことか)
良くある仕様だとトップページに戻り、結月は今度は見るからに年季の入った民宿のプランをクリックした。
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