第四章

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 必死な弁解が面白いのか、クツクツと笑う低音が耳に届く。  見えなくとも愉しげにニヤつく表情が思い起こされ、結月は湧き上がった羞恥に、堪らず枕に顔を埋めた。  土竜は何処まで、お見通しなのだろう。 「……ねぇ、土竜」 『なんだ?』 「……おれのソレは、『進歩』なの? 仕事をする上で余計な感情は邪魔だって、『師匠』がいつも、言ってたじゃん」  胸中を蝕む『感情』は、仕事中に自我を生む。この世界で生きていくには不要な興味を切り捨てるか、それを抑えこめる程に強くならなければいけないと、『師匠』は結月に教えた。  土竜は暫くの沈黙の後に、『そうだなぁ』と呟いた。 『……アイツが知ったなら、「私の教えを忘れたのですか」って言いながら、仁王立ちで腕を組むだろうな』 「……だよね」 『けどな、結月。その後きっと「お茶にしましょう。手を洗ってらっしゃい」ってお前を追い払ってから、こっそりと顔を緩めるんだよ。『師匠』じゃなくて、『親』の顔でな。俺の知るアイツは、そーゆーヤツだ』 「……土竜の知る『師匠』なら、誰よりも間違いないじゃん」 『どうだかな。俺の知らないアイツも、沢山あると思うぞ』
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