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間違いではない。現に土竜は、仕事先での『師匠』を知らない。『方法』は知っているようだったが、仕事終わりの師匠には、決まって『お疲れさん』と言うだけだった。
それが、知る必要がないという割りきった大人の余裕だったのか、知りたくないと思っていたからなのかは、未だに判断がつかない。
けれどもやっぱり、『師匠』の根底を知るのは、土竜しか居ないと思うのだ。
『それにな、結月。月は日によって形を変えるものだ』
言い聞かせるように紡ぐ土竜の声は、やはり穏やかだ。
『少なくとも俺は、お前の変化を、嬉しいと思うぞ』
彼の言う『親』の顔で微笑む『家族』を脳裏に浮かべながら、結月は懐かしさに「……そっか」と目を閉じた。
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