なんのことはない      

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八月の蝉 夏の日差しの中で 全身で鳴く 死に絶えるその瞬間まで 鳴くことをやめない 生きた証を残すため 例え羽がなくなっても 地を這いながら鳴き続ける 灼熱に焼かれながら それでも尚鳴き続ける 君は死にたいと口癖のように言うが、 結局楽な生きる選択を繰り返す 灼熱をはい回る蝉のように 覚悟も強さもなにも持たず 楽に生きる方法だけを探す 君の死にたいはただの口癖 八月の蝉のように 限られ過ぎた生きざまを 真似することは出来ない 勇敢であれ君よ ジリジリ焼け付く太陽に 向かって跳べ 地面をはい回る蝉のように太陽に焼かれながら 生きる楽を選んだ自分を殺せ 君の甘い考えもろとも 太陽に焼かれてしまえ 八月の蝉のように
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