1651人が本棚に入れています
本棚に追加
徹大に彼女がいてもいい。
幼馴染として徹大の側にずっといたい。
――てっちゃん、俺のこと好きじゃなくてもいいから、側にいさせてよ。
「てっちゃん……」
瑞樹は自分の声で目が醒めた。隣にいたはずの潤は既にいない。ベランダの窓から外を見ると、既に薄暗い。思いの外熟睡していたことに驚く。
――中学生の頃の夢、見ちゃったなあ。
徹大を好きと気付いた中学時代。持て余す思いをどうしていいか分からず、辛かった事を思い出したのは、今また辛い思いをしているからだろうか。
「起きよう……」
瑞樹は布団を簡単に整えて、寝室を出た。リビングに行くと、潤がスマホで誰かと話している。瑞樹が声をかけようとすると、潤は人差し指を口元にあてた。どうやら声を出すなと言いたいらしい潤の意図を察して、瑞樹は口を噤んだ。
「はあ? 徹大、おまえ、何言ってんの?」
電話の相手は徹大だった。
最初のコメントを投稿しよう!