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真面目で冷静な潤に、静かに指摘されるとそう思えてしまう。
「二人は恋人同士じゃないんだろう?」
「潤くん、言い難いこと、はっきり言うね」
「現実から目をそらすなよ、瑞樹」
潤が瑞樹の頭に掌を置く。
徹大も潤も背が高い。二人共百八十センチはゆうに超える。それに比べ瑞樹はかなり小柄だ。中学の時バスケ部に所属していたが、背は百六十センチからはびくともしなかった。
「小さいからって、子ども扱いするなよ」
「馬鹿、瑞樹は子どもじゃない。立派な看護師、社会人だ」
「さっきからバカバカ言わないで。傷つく」
「悪い、怒ったか?」
優しい潤は、瑞樹の嫌がることはしない。
「……ううん、怒ってない」
「そうか、瑞樹。腹減ったろ、なんか食うか」
そう言われると瑞樹は空腹感を意識してしまう。さっきまでは悲しみと怒りで何も感じていなかったはずなのに。
「食う」
簡潔に答える瑞樹に、潤が微笑んだ。
瑞樹は潤がいてくれてよかったと心から思った。
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