嫌いになれない幼馴染

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「アイドルって……俺、男ですよ」 「ジャ◯◯ズだって男のアイドルじゃない。瑞樹ちゃんはあの子たちに負けないくらい可愛いし」  瑞樹の顔は、とても可愛らしい。小さい頃はよく女の子に間違われた。腰のないサラサラの短め髪には常に天使の輪が輝いている。細くて小柄な体は、下手をすると女性看護師よりも華奢だったりもする。 ――男が可愛くても何の意味もない。てっちゃんが好きなのは女なんだから。 「あれ、また暗い顔。私、地雷踏んだ? 男の子に可愛いはなかったね、ごめんね」 「い、いえっ、違いますっ」  またもや先輩看護師に気を遣わせてしまった。思考がすぐに徹大に結びついてしまう。 「そ? じゃあお昼配ろうか」 「はい」  日埜と手分けして各病室に昼食を配膳する。 「三春さーん、こんにちはー」  瑞樹はベッドを囲むカーテン越しに元気よく声をかける。中にいるのは、昨日開腹手術をしたばかりの三春という姓の初老の女性だ。 「瑞樹ちゃん?」 「あ、すみません。三春さん、寝てたんですね。起こしてしまってごめんなさい……」
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