嫌いになれない幼馴染

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 思考を徹大と切り離したくて、無理矢理スマホで新居探しをする。おにぎりを食べながら、不動産サイトを眺める。 「病院に近くて、安いとこ……ないかなあ……」 「瑞樹ちゃん、引っ越すの?」 「わあっ」  いきなり後ろから話し掛けられ、瑞樹は驚いた。 「庄崎さん……」 「ね、ちょっと話してもいい?」 「いいよ」  庄崎は瑞樹の同期看護師だ。看護大学卒なので年は一つ上で、病棟看護師で新人は二人きりなので必然的に仲が良い。 「合コン?」 「うん、瑞樹ちゃんの友達でいない? 合コン来てくれそうなイケメン」  すぐ頭に浮かんだのは、徹大。徹大は合コンが大好きだ。知らない女の子と仲良くなれるのが相当楽しいらしく、毎週と言っていいほど参加していた。 「うーん、いないかなあ」  まさか徹大を呼ぶ訳にもいかない。 「そっかあ、残念。じゃあさ、瑞樹ちゃんだけでも来ない?」 「俺だけ?」 「うちの友達も会いたがってるんだ、可愛いすぎる看護師男子に」  瑞樹は女性とお付き合いをした事がない。女性に対して可愛いとか、綺麗とかは普通に感じる。しかし徹大ほど好きになれる人物に残念ながら出会えていない。 「うん、考えとく」  徹大とさよならするのだ。ここは心機一転、彼女でも作ったほうがいいのかもしれない。
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