嫌いになれない幼馴染

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《第4話 告げられない思い》  徹大が好きで好きで、瑞樹は高校まで追いかけた。  瑞樹は中学時代、成績が良い優等生だった。しかしランクを一つ落として徹大と同じ高校を第一志望にした。教師、母親には当然考え直すように言われたが、頑なに拒否した。どうしても徹大と同じ高校に行きたかったのだ。 「瑞樹、何で俺んとこの高校、受験すんだよ」 「だっててっちゃんのとこの学校のほうが、家から近いし」 「おまえ、頭いいけど馬鹿だなあ。それが理由かよ」 「いいじゃん、そんなの」  拗ねる瑞樹を徹大が揶揄う。  今思えば、母親は瑞樹がランクを下げた高校を志望した理由を分かっていたような気がする。まさか瑞樹が男を好きだとは思っていないだろうが、幼馴染の徹大と同じ高校に行きたいという子供っぽい我儘を許してくれたのだ。  徹大の側にいたい。  その思いだけで、瑞樹は受験勉強をして、徹大と同じ高校に無事合格した。  しかしそれが逆に瑞樹を苦しめた。  中学時代の二の舞い、もしくはそれ以上の辛さを味わうことになる。
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