嫌いになれない幼馴染

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 徹大は高校生になり、更にモテるようになっていた。  それは見目の良さに起因する。  背は百八十センチと長身。色白で細身。だけど脱いだらすごい筋肉質の体。髪は校則違反の茶髪で、緩くパーマをかけ散らしている。綺麗な顔立ちはより男らしさも加味され、ますますカッコいい。それでいて優しいのだ。  男女関係なく、皆と仲がいいのは昔と変わらない。こんなスーパーイケメンが女子にモテない訳がない。  校内では常に女子生徒に囲まれ、瑞樹が近寄る隙すらない。放課後はもちろん彼女らしき女子と下校する。夜や休みの日は、外で出会ったと思われる年上の女性と会っているようだった。  同じ高校になんて行かないほうが良かったのかもしれない。女子といちゃつく徹大が嫌でも目に入る環境は、瑞樹には拷問に近かった。  それでも瑞樹には幼馴染の特権があった。 「てっちゃん」 「おう、瑞樹か」  本当にたまにだが、徹大が夜、家で大人しくしている時があった。瑞樹の部屋から、徹大の姿が窓越しに見える。そんな時は、アポ無しで突然徹大の部屋に遊びに行くのだ。 「今日は遊びに行かないの?」 「どの女も今日は都合が合わなくてさ」  そんな理由だと分かってはいたが、徹大の口から聞いては瑞樹は勝手に傷付く。
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