嫌いになれない幼馴染

23/58
前へ
/260ページ
次へ
「てっちゃん、一体何人彼女いるんだよ」 「彼女なんていないし」 「嘘」 「本当だよ」 「だって、いっつも女の子と一緒にいるじゃないか」 「あれは……彼女じゃないんだよなあ、なんだろ、ヤリ友? セフレっていうんだっけ?」  瑞樹は呆れた。想像以上に徹大はチャラ男だった。 「サイテー……」 「まあまあ、そう言うなよ。俺、誰にも恨まれたことないし。みんなに優しいからさ」  そうなのだ。徹大は優しい。だからモテる。 「そういう瑞樹は、誰かいねぇの?」 「何がだよ」 「好きな女。おまえ、そういうの全然言わないじゃん」  瑞樹は奥歯を噛み締め、涙を堪えた。好きな相手は徹大なのに、本人にそれを言える訳がない。 「俺は、そんなの、いないし」 「またまた?。オニイチャンに言ってみろ? なんなら俺が誰か紹介してやろうか」  本当に久しぶりに二人きりになれたから、家にいるなら一緒に映画を見たくてDVDを持ってきていたのに、そんな話はしたくなかった  徹大の声がまた遠くなる。  分かってる。  瑞樹は決して徹大の恋愛対象にならない。  でも、だけど、徹大の側にいたい。 「うん、じゃあ、今度紹介して」  瑞樹は笑顔で応える。  心は切り刻まれ過ぎて既に血だらけなのに。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1647人が本棚に入れています
本棚に追加