嫌いになれない幼馴染

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 徹大は一凛と意外にも交際が続いていた。その事実がやはり瑞樹を傷付ける。しかし徹大が真面目に一凛と付き合っているのならば、それはそれでよかったのかもしれない。そう思う事にした。  だが瑞樹は裏事情を知らなかった。 「あいつ、浮気がひどいんだ」  珍しく潤が怒っていた。潤と一凛は同じ大学で、一凛から悩み相談を受けているらしい。  この頃の瑞樹は徹大より潤とよく会っていた。まだ徹大への思いは告げていなかったが、高校時代から懐いている潤に心を許していた。  瑞樹は高校生の時、何回か一凛を見かけたことがある。高校生とは思えない美貌の持ち主だった。そんな素敵な彼女がいるのに、徹大はこっちへ出てきてからしばらく収まっていた女癖の悪さが再燃していた。 「てっちゃん、一凛さんと結婚するんじゃなかったの?」  徹大と会った時、瑞樹は思い切って聞いてみた。結婚の話なんて、徹大としたくはない。しかしあまりにも不義理を働いている徹大の思いを知りたかったのだ。 「うん、そうなんだけどさ。こっちきたら一凛より可愛い子めちゃくちゃいるし。いろんな子と遊びたいじゃん。それに一凛、意外と嫉妬深くて、けっこううぜぇんだよなあ」
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