嫌いになれない幼馴染

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 ――当たり前だ。浮気をしている男に、嫉妬しない女性なんていないよ。 「そ、そうなんだ……」 「一凛がうるさくなきゃいいんだけどなー………、あ、瑞樹、これオフレコな」  徹大が世の中の女性を全員敵に回しそうな台詞を、瑞樹の前で吐く。女性の前では絶対に口にしない愚痴。それだけ瑞樹には気を許してくれていると思えば、どんな悪口でも聞いてあげたくなる。 「瑞樹みたいに可愛くて、俺の言い成りになる女、どっかにいねぇかなあ」  瑞樹は基本徹大に逆らわない。それは無理をしている訳ではなく、昔からの癖。徹大なら瑞樹の悪いようにはしない。瑞樹は徹大がどんなにチャラ男でも、信頼していた。  徹大と一凛。  あんなに相思相愛だった2人は、徹大が美容専門学校を卒業すると同時に別れてしまう。度重なる浮気に一凛が堪えられなかったのだと、潤から聞いた。  ――あんなに綺麗な人を苦しめて、本当にてっちゃんは酷い男だ。  それでも瑞樹が徹大を好きなのは変わらなかった。
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