嫌いになれない幼馴染

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 徹大にルームシェアをしないかと誘われたのは、一凛と別れた直後のことだった。徹大は一凛と同棲することを前提に家を借りていたらしい。二人で払うはずだった家賃を一人で払うのは予定外の出費らしく、寮生活をする瑞樹に声をかけてきたのだ。  瑞樹は一も二もなく了承した。大好きな徹大と一緒に住めるなんて、このチャンスを逃したらもう二度とないのだ。 「一凛と住むより、瑞樹と一緒の方が楽しそうだな」  瑞樹はこの一言に救われた。三年近く付き合った一凛ではなく、幼馴染の瑞樹を同居相手に選んでくれたのだ。  それから徹大と瑞樹のルームシェアが始まった。  徹大二十一歳、瑞樹二十歳の春だった。             「ふああ……寝すぎた……」  寝たのが昼過ぎだったが、起きたら夕方だった。 「いかん……家を探さないと……潤くんの彼女が……」  瑞樹がのそのそと布団から起きようとしたら、寝室のドアが突然開いた。 「起きてたか」 「うわあ、潤くん。帰ってたんだ、おかえり」 「ただいま。そろそろ起こそうかと思ってきたんだが、起きれるか?」 「うん、寝すぎたよ。起きる」
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