嫌いになれない幼馴染

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「でもきっとてっちゃんは俺をキモいって思ってる」 「そんな訳ないだろう」 「俺にキスはするんだ、だけど」 「抱いてくれないんだろう?」 「分かってる。俺、男だし。てっちゃんと同じ体だし。てっちゃんは根っからの女好きだもん。俺を抱ける訳ない」  いつの間にか、瑞樹は潤に抱き締められている。 「俺が抱いてやる」 「え?」 「好きだ、瑞樹」  瑞樹は潤に告白された。 「う、嘘だろう」 「嘘じゃない。ずっと瑞樹を好きだった」 「だ、だって、潤くん、彼女いたし」 「だな」 「潤くんって、男も、好きなの?」 「分からない。女にも男にも恋愛感情は抱いたことはないから。ただ、瑞樹、おまえは別だ。おまえは好きだと言える」  潤が瑞樹の両肩を掴む。 「瑞樹」  潤の唇が瑞樹に近づく。そして、触れた。 ――柔らかい。  真面目な潤の唇は、硬そうなイメージがあった。しかしそれはあくまでイメージ。触れるそれは想定外にふわふわと柔らかかった。  軽く触れて離れたのが、少し物足りない。 「もっと、していいか?」
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