嫌いになれない幼馴染

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「いつかはてっちゃんとさよならしないといけないって、いつも思ってる。てっちゃんには一凛さんみたいな素敵な恋人が出来て、結婚して、俺はお払い箱って。そう思って毎日、てっちゃんと一緒にいるんだ」 「おまえ、そんな事、考えてたのか……?」  徹大は瑞樹の悲壮な決意を初めて知ったのだろう。  瑞樹の顔を唖然と見ている。 「でもそれで良かったんだ。俺は、さよならする最後の日まで、てっちゃんの側にいたいと思ってた……でも」  徹大の顔は相変わらず綺麗でカッコいい。  この顔も今日で見納めかもしれない。 「もう、だめなんだ。俺、心が、折れてしまった。てっちゃんが何を言っても、信じられない。ルームシェアは、もう、解消しよう、てっちゃん。俺はてっちゃんを好きだけど、てっちゃんは俺を好きじゃない。そんなてっちゃんと一緒にいるのは、もう、辛すぎて……一緒にいたいのに、いられない……」  ここまで殆ど口を挟まず、徹大は瑞樹の告白に耳を傾けてくれていた。一体何を思ってくれたのだろうか。少しは瑞樹の思いが通じていればいいのにと思う。 「瑞樹。聞きたくないかもしれないが、聞いてほしい」  徹大の真面目な声音。 「瑞樹は、小学生の時から弟みたいに懐いて、側にいるのが当たり前過ぎて」  瑞樹は徹大を好きだと自覚して十年だが、実際には十五年一緒に過ごしているのだ。 「瑞樹が俺を好きなのは、中学の時から気付いてたよ」
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