嫌いになれない幼馴染

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 徹大は当てが外れたような表情をする。 「好きだって言えば、俺がのこのこ喜んで帰ると思ったんだ。俺なんか、どうせそんな程度だよ。馬鹿にするなっ」 「瑞樹」 「てっちゃん、好きだよ。だから許せないんだ。あの家に、女連れ込んで。ヤッたとかヤッてないとか、信じられないし、もうどうでもいい。女連れ込んだ家になんか、帰るもんかっ。俺は、そこまでお人好しじゃないっ」  せっかく徹大が瑞樹を好きだって言ってくれたのに。  十年来の思いが叶って、ようやく両思いになったというのに。  瑞樹は自らそれを無くそうとしている。 「てっちゃん、本当に、俺を好きなの?」 「あ、ああ」 「だったら、誠意を見せて」 「誠意?」 「あの家はいやだ。引っ越して。そしたら、一緒に住んでもいい。それに、スマホ。それ、壊して。女の連絡先、全部消して。女と手を切ってくれないんたら、俺、帰らない」  瑞樹は徹大に嫌われるのを覚悟で、無理難題を吹き掛ける。 「瑞樹」 「それが出来ないなら、さよならだよっ」  その場が静寂に包まれる。  しばらく佇む三人だが、徹大がその静けさを破る。 「分かった」
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