嫌いになれない幼馴染

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――もしかして。  出口はすぐそこだ。瑞樹はもう暗くなり始めている外へと駆け出す。 自動ドアが後ろで閉まる。少し離れた所に見慣れた人影とバイクがあった。 「てっちゃん……」  やはり若い女性たちが噂していたのは、徹大だった。  バイクに跨る徹大。ライダースジャケットがよく似合う。すらりとした長い足は嫌味な程だ。 ――てっちゃんの彼女が羨ましがられるのがよく分かるなあ。  本当に徹大はカッコいいのだ。  瑞樹は徹大に見惚れて、ぼぉっとしていた。 「瑞樹、ぼけっとしてないで、来いっ」  いつまで経っても近寄ってこない瑞樹に焦れた徹大が、声を掛けてきた。条件反射とは恐ろしいもの。基本、徹大に逆らえない瑞樹は、足早に徹大に近寄る。 「これ」  瑞樹専用のヘルメットだ。高校の時、いつも後ろに乗せてもらっている一凛が羨ましかった。ルームシェアをした時、なぜか知らないが徹大は瑞樹にヘルメットを買ってくれた。それからたまに後ろに乗せてくれて、遠出をすることもあった。 「でも、俺、自転車あるから」 「うるさい。明日、朝、送ってやるから、チャリは置いてけ」  そう言うと、徹大は無理矢理瑞樹の頭にヘルメットを被せ、ベルトを締めてしまう。強引な徹大に逆らえない瑞樹は、バイクの後ろに跨る。徹大は行き先も告げずにバイクを走らせた。
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