嫌いになれない幼馴染

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 徹大がいろんな女と寝ているのは知っている。しかし瑞樹がそれで徹大を責める筋合いはない。なぜなら徹大と瑞樹はただの同居人だからだ。ただ瑞樹が徹大を好きなだけ。そしてたまにキスをして、たまに体を触り合う。  徹大にとって瑞樹は女がいない時の性欲処理担当でしかない。  瑞樹はそれでも良かった。  なぜ徹大が瑞樹を同居相手に選んだのか分からないが、側にいられれば理由なんてどうでもよかった。  今までどんなに女と浮名を流そうと、瑞樹が堪えられたのには理由がある。それは瑞樹の見えない所で行われていたからだ。徹大がどう思っているのかは知らないが、決して二人の住む家に女を連れ込むことはなかったのだ。  しかし今朝、瑞樹は見てしまった。女と共に全裸で寝ていた徹大の姿を。あれを見て何もなかったのだと信じる者はいないだろう。 「もう……潮時なのかな……」    瑞樹が力なく呟いても、答えをくれる人はいなかった。 
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