鈍感な幼馴染

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 一瞬、この申し出を受け入れようと思ってしまった徹大だが、頭(かぶり)を降り考え直す。 「いや、いい。気持ちはありがたいけど、火に油を注ぐようなものだから」 「だよねぇ」  女は「ま、元気だしなよ」と軽く言い、さっさと帰ってしまった。  残されたのは瑞樹に荒らされた部屋と、意気消沈した徹大だった。             「はあ」  荒らされた部屋は何とか綺麗にした。  それは思ったより大した作業ではなかったが、痛かったのは、大事にしていた美容雑誌をボロボロにされたことだった。  それでも徹大は瑞樹を責める気にはならなかった。  瑞樹は徹大が美容関係の雑誌を大事にしていることを知っている。  分かっているのに、ああいう行動に出たということは、それだけ怒りの凄さを表している。 「泣いてたな、瑞樹」  大きな目からボロボロ涙を零していた姿が脳裏をよぎる。  瑞樹が徹大を好きなことなんて、とうの昔に気付いている。  瑞樹は知られていないつもりのようだが、気持ちはいつでもだだ漏れだ。 「俺なりに瑞樹、特別扱いにしてるんだけどなぁ」  でもそれではだめなのだろう。  それも分かっている。  瑞樹は好きだ。  おそらく恋愛感情という意味だと思う。  しかしそれを認めるのが徹大は怖かった。
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