鈍感な幼馴染

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 瑞樹が家を飛び出してすぐにスマホに連絡を入れた。  しかし既に徹大の番号は着信拒否にされていた。  メールも然り。  瑞樹の用意周到さには舌を巻く。  おそらく徹大からの連絡がなかったらと恐れて、自己防衛のためそうしたのだろう。  どこまでもすることが可愛い瑞樹だと徹大は思う。 「まあ、こんなことしても、居場所は分かってるんだけどな」  徹大はワザと余裕ぶる。  瑞樹には徹大以外に懐いている男がいる。  それは徹大の親友、平橋潤だ。  チャラい性格の徹大と、真面目な潤。  全く正反対の二人。  高校一年生で同級生となり、何故か意気投合した。  三年間同じクラスだったこともその一因だろう。  徹大を追いかけて同じ高校に入った瑞樹は、徹大と仲が良い潤にもすぐに懐いた。  その懐き具合に徹大が密かに嫉妬しているのは絶対に内緒だ。  というか、瑞樹は鈍い。  ちょっと考えれば徹大が瑞樹を好きだと分かるのに、頑なにそれを認めない。  絶対に徹大が瑞樹を好きになるとは思っていないのだ。  これには徹大に原因があるのだ。  徹大は異常な程にモテる。  本人も女好きときたものだから、十三歳の初体験から十年、女が切れた事は一度たりともない。
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