鈍感な幼馴染

7/62

1646人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
 そんな徹大を好きで堪らないという眼差しで見つめ続ける瑞樹が、可愛くない訳がない。  徹大が女といちゃつくと悲しそうな顔すると、たまらなく唆られる。  そんな瑞樹を見たくて女を取っ替え引っ替えしてるなんて事が、瑞樹にばれたら殺されるだろう。  要は徹大は瑞樹を弄んでいるのだ。 「しゃくに障るけど、連絡すっか」  徹大はスマホを手にし、親友の連絡先をタップする。 「やっとかけてきたか」  数回鳴ったコールの後、親友は開口一番こう言い放つ。 「何がだよ」 「随分余裕じゃないか、徹大」  潤は昔から何故か瑞樹贔屓だ。  懐いているからそうなるのも頷けるが、少し度が過ぎている気がしないでもない。 「瑞樹、いるんだろ?」 「だったら?」  いきなり喧嘩腰だ。 「うちに帰るように言ってくれ」 「徹大、女、連れ込んだってな」  瑞樹が早速潤に相談していることに徹大は腹が立つ。 「おまえには関係ねぇだろ」 「俺にはな。だが、瑞樹のためにそれだけはしないって、おまえ言ってたよな。それはもう反故にしたってことか」
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1646人が本棚に入れています
本棚に追加