鈍感な幼馴染

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 潤は頭がキレる。  そして弁も立つ。  徹大は口では潤に勝てないことは分かっている。 「連れ込んだだけで、ヤッてねぇよ」 「同じ事だろう」 「いいから瑞樹を出せ。いるんだろう」 「瑞樹は夜勤明けだ。俺のベッドでぐっすり寝てる」  潤のベッドで、という言い方に、徹大はカチンと来る。 「おい、潤。瑞樹に手、出すなよ」 「おまえと一緒にするな」 「認めるのか」 「さあな」  潤は男気があっていい奴だ。  徹大の次くらいに女にモテる。  だが潤は徹大と違い、あまり相手に執着しない。  合コンにもいかない堅物野郎だ。  だから瑞樹を好きなのかもと思ってしまっても、不思議ではないのだ。 「瑞樹はな、俺に惚れてんだ。ちょっとやそっとの事じゃ、俺から離れて行かねぇよ」  多少負け惜しみが入っているが、高飛車な潤に苛ついて徹大は強がりを言う。 「はあ? 徹大、おまえ、何言ってんの?」  電話の向こうから、徹大を馬鹿にしたような声音で潤が言う。
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