鈍感な幼馴染

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「瑞樹、おまえとルームシェア解消するって言って、起きたら早速ネットで新居探しする気満々だぞ」 「おいっ、潤! 瑞樹を説得しろっ。そんなことさせるんじゃねぇ!」 「とにかく、瑞樹はしばらくうちで預かるから。おまえは自分のした事とこれからをちゃんと考えろ。いいな」  徹大は言い返そうとするが、向こうから通話を一方的に切られてしまう。  慌ててリダイヤルするが、既に電源を落とされていた。 「くそっ!」  徹大はスマホをベッドに放り投げる。 「瑞樹の奴、俺以外の男に靡きやがって……。勝手にしろっ」  徹大は自分のした事を棚に上げて、潤に逃げた瑞樹を責めた。            徹大が小学二年生の時、瑞樹は隣家に引っ越してきた。 「こんにちは。隣に越してきた冬野です。徹大くん? うちの瑞樹。一つ下の一年生なの。仲良くしてくれる?」 「女子……?」  徹大がそう呟いてしまうのも仕方がないほど、瑞樹は可愛い子どもだった。 「あはは……。徹大くん、瑞樹、ちょっとなよなよしてるけど、立派な男子よ。大人しいから、外とか連れてってくれたら助かるんだけど」 「うちの徹大で良かったら、こっちこそ遊んでやって。この子、無駄に友達だけは多いから、この子と一緒にいたら、多分瑞樹ちゃんもすぐ友達が出来るわ」
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