鈍感な幼馴染

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 瑞樹がいない生活。  家事全般はほとんど徹大がしているせいか、生活は特に困らない。  瑞樹は可愛らしい風貌を裏切り、意外と大雑把だ。  ルームシェアという形をとっているので、それぞれ自室を持つ。  瑞樹の部屋はいつも散らかっている。  脱いだ服や、読みかけの参考書が乱雑に置きっ放しだ。  綺麗好きな徹大は少しイラっとするが、自室なので大目に見る。  許せないのは、共有するリビングやキッチンを散らかすことだ。  瑞樹はコップを洗わないでシンクに溜め込んだり、リビングにお菓子を零しっぱなしにする。  そうすると、徹大の堪忍袋が切れる。 「瑞樹! 散らかすなって言ってるだろう」 「あっ、ごめんなさい。てっちゃん」  どうも無意識に散らかしてしまうようで、一喝するとすぐに片付け始める。  元カノの一凛とはすぐ喧嘩になったが、瑞樹は叱っても反抗しないので、喧嘩になったことすらない。  そんな散らかし屋の瑞樹がいないと、徹大の家での仕事は意外に少ない。  一人だと料理もする気にならないし、部屋が汚れないので掃除も頻繁にはしない。  洗濯も一人分。全くもって楽チンだ。 「はっ、一人の方が気楽じゃねえか」  最初のうちはそんな風に考えていた。  しかし、徹大の知らぬ間に弊害があることにはまだ気付いていなかったのだ。
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