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「お客様の仰る通りです。今回はもちろんお代はいただきません。それでご勘弁願えませんか?」
「当然よ、誰がこんなことされてお金を払うものですか。それと、次回からは担当を変えてもらうわよ。ちょっと顔がいいからって、調子に乗ってるんじゃないわよ」
徹大にとっては酷い言われようだが、自分が悪いのだから仕方がない。
「はい。本当に申し訳ありませんでした」
再び徹大は深く頭を下げた。
立腹していた客は言いたい放題に言い尽くすと、気が収まったのか、やっと店を出て行った。
「はあ……」
徹大は思わずスタッフルームで溜息をつく。
「今和泉くん、最近何かあった?」
「ユカさん」
徹大に声をかけたのは、先輩美容師のユカだ。
遅い昼食を食べようとしていた徹大だが、あまり食も進んでいない。
どうやらそれもユカの目に入ったようだ。
「ご飯もあんまり食べてないみたいだし」
「はあ……すみません」
「今日のも、まあミスといえばミスだけど、あんなに怒らなくてもって思うけどね」
ユカはくすりと笑う。
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