鈍感な幼馴染

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 徹大のビールを飲む手が止まる。 「は?」 「合コンするとか言ってるし」 「合コン? 瑞樹が?」 「別におかしかないだろ。あいつだって二十二歳の成人男性だ。今まで誰とも付き合ったことがない方が不思議なくらいだ」  瑞樹は可愛い。  世の中、そんな可愛い男性が好きという女性もたくさんいる。  高校の時、実は瑞樹と付き合いたいという女子は結構いたのだ。  瑞樹が徹大以外を見るのが癪に触ったので、瑞樹を狙う女子は片っ端から徹大が手を付けていった。  瑞樹には絶対内緒の話だ。 「徹大、邪魔するなよ」 「何をだよ」 「瑞樹の新しい恋を、だよ」  ――瑞樹の新しい恋。  瑞樹が徹大から離れていこうとしている。  小さい頃から徹大一筋な瑞樹が?   まさかそんな事が起きるはずはない。そう思いたい。 「徹大、いい加減認めろ」 「あ?」 「瑞樹のこと、どう思ってる?」  可愛い瑞樹。弟のような瑞樹。色っぽい瑞樹。どの瑞樹も大好きだ。 「好きだよ、でも、家族愛なのか、恋愛なのか、よく分かんねぇ」 「はあ、まだ分かんないか。まあ、おまえたち、距離が近すぎるから、見えないものがあるのかな」
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